※当文章は、わかりやすいよう、経営者様と後継者様の間に立つ経営者様の奥様、および後継者様の奥様向けの体裁を取っています。

しかし実際は、同族企業には様々なカタチがあり、性別や役職等に関係なく、間に入らざるを得ない方が多数いらっしゃることは承知しております。

以下はそのような皆さま全員に対して「お伝えしたいこと」とご理解頂ければ幸いです。


僕(澁川)は、後継者の立場で、経営者であった父と対峙してきました。父も僕も意地になり、喧嘩ばかりしてきました。
その仲を取り持とうと、母(専業主婦・父が経営する会社に関与なし)は家庭で常に明るく振舞ってくれました。

しかし…

そのことに甘えて僕や父は互いの主張を繰り返すばかりでした。

既に父も母も他界したので確かめようがないのですが、生前、母は、「2人とも、何とか冷静になり、未来志向でものを考え、今を見つめ直せば…」と思っていたのだと想像します。
しかしいつまで経っても僕は自分の気持ちを整えることが出来ず、感情が先走った状態で僕は父と接していました。


経営学の一つである組織論にリッカートが提唱した「連結ピン」という考え方があります。「連結ピン」とは、複数の人や組織をつなげ相互のコミュニケーションを促進する役割を示す人のことです。

母はまさに「連結ピン」的役割を担ってくれました。出来るだけ父と僕のコミュニケーションがうまくいくように仕向けてくれました。


しかし、僕は最後まで母の期待に応えることが出来ませんでした。今、とても申し訳なく思っています。


同族経営の場合…


経営者様と後継者様の間に入る奥様方は、うまく話し合うことが出来ない現実を前に虚無感にかられ、投げ出したくなることもあると存じます。しかし、どうかご無理ない範囲で結構ですので、ご家族および事業がうまくいくよう願い続けて頂ければ幸いです。

時に、家族であるがゆえに「まったく言うことを聞いてくれない」と思われることもあるでしょう。

しかし、そう思われるのは、同族経営のご家族のほとんどのようです。ご自身だけではないので「みんなおなじように悩んでいる」と少しお気持ちを楽にしてください。


同族経営を行うご家庭では、精神的にも肉体的にも過大な負荷がかかっているようです。そのためか、前向きな精神状態の時は頑張りが効くのですが、後ろ向きな精神状態になった時は健康を害することもあるようです。

”体調がおかしくなるかも知れない”と感じられた時には、どうか日常を離れ、「好きなことをする」「趣味に没頭する」「ご飯を食べに行く」など息抜きをして頂ければと存じます。

ぜひぜひ、健康な状態を維持するよう日頃から心がけてください。

※あの頃、僕の家族にも相当のストレスがかかっていたと思います。そのためか、父は急性大動脈解離で一瞬にしてこの世を去りました。
母は父が亡くなってから数年後癌で亡くなりました。その1年後兄も癌で亡くなりました。

また父が亡くなった日、僕は腎臓癌であることが判明しました。父の葬儀が住んだ後、僕の腎臓癌は手術で取り除き、今は元気で活動しております。