昔の感覚は忘れてしまうもの
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4月のことですが、
広島にお墓参りのため
帰省しました。
その時は一泊二日の
弾丸スケジュールでした。
お墓参りをしたその日の夜は
友人と飲みました。
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その友人は
何年も仕事に忙殺されており、
その間、ほとんど広島から
出ることがなかったようです。
毎日の通勤に関しては
自分で運転する自動車が
主となっており
バスや電車など公共交通機関の
利用はほとんどありません。
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それが
忙殺により体調を崩したことが
きっかけとなり
「これまで行ったことのない
ところへ行ってみよう」
と思い始めたそうです。
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昨秋、
その友人は初めて東京に行った
とのこと。
その時の話が考えさせられました。
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友人曰く
「ずっとリュックサックを背負って
東京観光する積りだったが
コインロッカーを使えば楽と
人に言われた。
"コインロッカーを使う"
そんな発想は持っていなかった」
「電車に乗る時は
一回一回、券売機で切符を
買おうと思っていたけれど、
東京の人は皆キャッシュレスで
改札を通過する。
偶然ICOCA(JR西日本のICカード乗車券)
を持っていたので助かった」
「地下鉄は景色が見れないので
何が何だか全く分からない。
地上を走る電車が安心できる」
「(歩行者天国は広島にないので)
銀座の歩行者天国に驚いた!」
「東京都内は意外に緑が多い!」
「東京駅の改札内でお土産を
買おうとしたけど
よくわからないので
グルグル回ってしまい
改札を出たり入ったりした。
ホントICOCAを持っていてよかった」
などと言っていました。
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失礼ながら…
口を開けて高層ビル群を眺め
「すご~く高い」とつぶやく
そんな友人の姿が容易に想像できました(笑)
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友人の
東京土産話を聞きながら
僕は自分が19歳の時を
思い出しました。
初めて東京に出てきて
シブカワ青年が思ったことは…
・東京って怖い街、
道を歩いていると知らぬ人が
すかさず声をかけてきて
途端に騙されてしまうはず
・地下鉄なんてわけのわからないものには
絶対乗らない。全て地上を走る電車に乗ろう
・電車内は人が多く、押し合うので、
胸部圧迫骨折をするはず。
気をつけなければ…
・電車内にはスリがいるはず。
財布はお尻のポケットじゃなく
ジーパンの前のポケットに
入れて、手で蓋しておこう
・電車を乗り過ごすと大変なことになる。
アナウンスを聞き逃さないようにしなければ…
・電車の乗り換えは緊張する。
何度も何度も掲示を確認しなくてはいけない
などでした。
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40年近く前の僕は、
東京に初めてきた友人と同じような
感覚を持っていたのに…
今は慣れ切ってしまい
その感覚を忘れていました。
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これって
あるあるなのだと思います。
例えば…
社長になった当時
右往左往し、
またもがきながら
色々試したことなどは
今となっては
社長は忘れているかも
知れません。
そのため
後継者の言動が理解できない。
そして後継者に対し
「なんでそんなところで
停滞しているのか?」
「なんで俺の言っていることが
わからないのか?」
と思ってしまいがち。
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人間社会って…
このようなことの繰り返し
なのでしょうかね。
P.S.
「慣れ」って怖い
と思うことが増えてきました。
若い頃は
「経験や慣れ」が多い人を
羨ましいと思っていました。
しかし、今では
「経験や慣れが制限をかけ
人への理解を妨げているのでは…」
と思うようになりました。