【ある日のスケジュール】
家族会議の効果を高めるため、通常は月に1回、2日連続で訪問させて頂いております。

<1日目>
16時:訪問。社長様、ご家族(ご親族)様とのお打ち合わせ
17時:従業員の方々と雑談等を交えながら、社内の状況を観察
18時:販売データ等、必要なデータに目を通す
19時~21時:家族会議開催。
参加者全員で、片手で食べられるものを頂きながら、澁川が司会進行しながら進める。内容としては、①家族(親族)それぞれの感情の整理、②現在の事業の問題の整理、③将来の事業の姿・家族(親族)のあり方、④課題の設定など)

<2日目>
9時:後継者様と打ち合わせ。後継者様に家族会議で「決まったこと」「宿題として残したこと」等を議事録として残して頂きます。その記載内容を2人で確認。
※議事録は家族会議の参加者全員に毎回目を通して頂きます。
9時半:社長様にご報告および次回家族会議に向けての打ち合わせ
10時:ご家族(ご親族)様および従業員の方々からご意見・ご要望等を収集。
11時:退社




【経営の世代交代サポート 7つのツール】

<事業×感情マトリックス>
「事業の状態」および「経営陣やそのご家族(ご親族)の感情」や「資金の流れ」は、その時々によって変化し、時間の経過とともに複雑に絡まっていきます。

家族会議を行っていると、感情が昂り、芋づる式に様々な話が飛び交い、まとまらなくなることがあります。それらを整理するため3×3のマトリックスを用い「事業のこと」「どうしても抑えきれない感情のこと」「お金のこと」に分けて整理し、相関を考えながら、全員で共有していきます。

<過去トレース>
時間の経過とともに、過去の出来事を過大評価もしくは過小評価し、事実と各人との評価に乖離が生じることがあります。
例えば、経済成長率が高い時代に事業が拡大したとします。その場合、「事業の実力」を過大評価してしまうこと等が挙げられます。

過去の出来事を感覚ではなく事実として把握するために、出来事を数字で捉え直す作業が必要となります。そのために表計算ソフトを用い、1年ごとの経済成長率、世の中の出来事(トレンド)、周辺人口、当社の売上・利益、従業員数、拠点数などを入力し、家族(親族)で共有し、認識を合わせていきます。
※これら作業は、事業の沿革を確認することに繋がります。後継者様が事業の沿革(時代背景等を含む)を知ることは貴重な後継者教育にもなります。

<免疫マップ>ロバート・キーガン著「なぜ人と組織は変われないのか」より
免疫は現状維持のために必要なものです。しかし、変化・変革を邪魔することもあります。

例えば、私は人から色々言われたくないとの思いがあるせいか「完璧主義」的なところがあり、なかなか行動に移せませんでした。この「完璧主義」が免疫となります。
(多くの場合、他人は私に「完璧性」を求めていないのですが…)

このような免疫に気づくためのツールとして「免疫マップ」があります。家族会議に参加される方の免疫が強力に働いている場合、それを取り除いた方が、ご本人も周囲の方も楽になり、事業が成長する可能性が高まることがあります。

<コーチングのタイプ>鈴木義幸著「コーチング流タイプ分けを知ってアプローチするとうまくいく」より
人はみな違います。親子であっても別の人です。それが前提であるものの、普段は忘れてしまいがちです。
(家族だから言わないでもわかるだろう、との思いもあるかと思いますが…それは別の話)

経営者と後継者が、それぞれ互いのタイプを知っておくことは有益です。なぜなら自分の方から相手のタイプに合わせたコミュニケーションスタイルに変えることが出来るからです。
また後継者が、後継者主導で新組織を作る場合には、組織メンバーのタイプを把握し、適所に配置することは重要です。なぜなら適材適所への配置は将来の業績を左右することにも繋がるからです。

<強み発見シート>
経営者様および後継者様の「興味・関心」「好きなこと・得意なこと」と、『事業の強み』に関連があればあるほど、その事業は強くなっていきます。
後継者様が、新経営者となった時、これまでの事業のどの部分を引き継ぎ、どの部分を改革していくかを考える(今後の事業展開を考える)ためのツールとなります。

<事業承継計画>
「何年後に事業承継を完了させるか」を決め、そこから逆算して、株の所有割合をどう変化させていくか、後継者教育をどのようにしていくか、役職をいつ変えるかなどを決め、管理するためのツールとなります。

<エンディングノート>
「メメント・モリ」という言葉があります。
この言葉はラテン語で、「自分が(いつか)死ぬことを忘れるな」「死を忘れることなかれ」という意味の警句です。
エンディングノートを記載することで「メメント・モリ」を嫌でも意識するようになります。その気持ちは「事業を継続することに対する強い気持ち」を醸成・強化するはずです