地域の地形や歴史に目を向けてみよう。そこに現状打開のヒントがあるかも…
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今から15年ほど前でしょうか…
僕は国の中小企業支援施策である
「JAPANブランド育成支援事業」
というものに関わらせて
頂きました。
この施策は
(当時の僕の解釈ですが)
「地域にある伝統産品等を
ブラッシュアップし海外に売る」
というものです。
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当時、僕は
JAPANブランド育成支援事業
の仕事で
東北地方から九州地方までを
巡らせて頂きました。
その中で気づいたことがあります。
【地形が文化・産業を育み、歴史を作る】
と…
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様々な地域を訪れ
事業者さんとお話していると
よくわからない歴史の話が
出てくることがありました。
そのため僕は
前泊してその地域に入り
図書館に行って
その土地の歴史の本を
パラパラめくったり、
地域を歩いたり、
時にはレンタカーを借り
周辺をドライブするように
なりました。
そしてそのことが
事業者さんがおっしゃること
への理解を促し、
事業者さんの強み発見に
繋がることもありました。
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(話変わって…)
先日、山形県山形市に行きました。
完全に私用で、です。
※以下は山形の話ですが、
日本全国に通用する話だと
思います。
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山形駅から歩いて20分ほどで
七日町という
中心市街地(商業の集積地)に
行くことが出来ます。
僕は30年ほど前、
山形県天童市(山形市の隣)に
住んでいましたが、
その頃より七日町には
何度か通っておりました。
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当時の七日町は
デパート等大型店舗も
複数あり、
また居酒屋等
飲食店もありました。
商店街も人通りが
多かったです。
多分、山形県内で
一番人通りがあったものと
思います。
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ところが、先日は
ほとんど人が歩いて
いませんでした。
正直、非常に寂しい…
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デパートも撤退し、
残っている
大型店も下層階だけ
テナントが入っている
といった状態。
昼食をとるにも
(僕が店を知らないだけなのか)
選択の余地が少ない…
※七日町にも屋台村のような
ものが出来てますが、
昼はやっていません。
涙!!!
残念至極!!!
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結局、数分歩き
偶然見つけた
飲食店に入りました。
店に入ると
店員さんが気さくに
話しかけて下さり、
僕が「東京から来ました」
とお伝えすると、
少し周辺商業等について
お話をして下さいました。
この感じが
地方の良さだと思います。
こういう関係性、東京じゃ、
ほとんどないですね。
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しかし…
これは山形市だからかも
知れません。
もう少し田舎に行くと
閉鎖的になり
「何者?」
という目で見られる
ことも多いと思いますが…
それはそれで別の話。
また方言がきつく
何をおっしゃいるのか
僕が理解できない…汗
というのも別の話。
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食事を頂いた後、
再び七日町商店街に出て
本屋さんに入りました。
この本屋さん、
僕が山形に住んでいた
30年前はおろか、
それ以前から
七日町の有力店舗として
この地にあったと
聞いたことがあります。
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僕の習性として…
本屋さんに入ると
だいたいのカテゴリ別
売場面積比を確かめます。
雑誌、
マンガ、
小説、
児童向け書籍、
学生向け参考書、
ビジネス書、
婦人書、
などの売場に占める
割合をざっと見ます。
すると
どのようなお客様が
来店されるのか、
その地区の方々の
読書傾向が朧げに
見えてきます。
次に
レジ前や入口入ってすぐの
一等地にどのような本が
置いてあるかを確認します。
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一等地には、案の定、
映画化された小説やアニメ、
本屋大賞を受賞した小説
などが並んでいました。
とその横に…
「さよならデパート」
渡辺大輔著
という本が並んでいました。
しかも結構なフェイス(面)で…
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前述したように
七日町にはデパートが
一軒もありません。
(というか、
県内にデパートは
ありません)
なので、
その本の題名から
山形県からデパートが消えた
顛末が書いてあるものと
推測しながら、
本を手に取り
パラパラとめくってみました。
すると
1600年 慶長五年の
ことから記述が始まります。
さらに読み進めると
「青苧(あおそ)」という多年草
そして染に使う「紅花」を
最上川を使い酒田港まで運び、
そこから海に出て西を回り
大阪や東京まで
運んだと書かれています。
その他、
戊辰戦争、日中戦争、
日露戦争それに
第二次世界大戦などが
山形の生活や産業に
影響を与えたこと
奥羽山脈のおかげで
仙台商業との直接競合が
避けられ、
山形からの消費流出も
抑えられたこと
また、
県外資本のチェーン店
が山形に上陸してきて、
モータリゼーションの進展や
山形新幹線開通によって
経営環境が変わってきたこと
などが記されていました。
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僕は
「これは買い!!!」
と本を手に取りレジに進みました。
ちなみに最近の僕は
kindle(電子書籍)でしか
本を買っていません。
紙の本は1年以上買ってないかも…
しかしこの本は迷うことなく
買ってしまいました。
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面白くて、
というか考えることが多くて
山形からの帰りの新幹線内
でも集中して読むことが
できました。
以下、僕が感じたことを
箇条書きにします。
・歴史は繰り返す
・第二次世界大戦後の日本は
長い間平和だったが、
本来は「争いがあること」が
普通かも知れない
・いつの時代も食うにも困る
ような人から工夫を始めるのか
(冷遇が人を鍛える)
・経営環境に依存せず
(甘えず)、
自分(自店)を強くする
のがベストな方法かも
・変化は急激に訪れる時と
じんわり訪れる時がある。
じんわり訪れた時、
気づいた時には既に手遅れ
・人口の変化、消費の動向には
注意を払っておく
・中心市街地の衰退と
郊外ロードサイドの盛況ぶり
はどこでも見られるが、
ロードサイド店舗の
ほとんどは県外資本。
県外資本に生殺与奪の権を
握られていて良いのか…
・奢れるものは久しからず
・信念を持って事に
当たる人の強さ
・川の氾濫、大火、地震
などの天災はいつあっても
おかしくない。
しかし生活、仕事が
ガタガタに崩される
・コレラなど疫病の存在
・「ダメだ」と
思っていたものが
輝きを取り戻す
タイミングって、ある
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上述しましたが、
これは
山形に限ったことではない
ことと思います。
どこの都道府県も
人口減少、高齢化で大変な
状況と思います。
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ドイツのビスマルクが
言ったとか、言わなかったとか
色々説はあるようですが、
「愚者は経験に学び
賢者は歴史に学ぶ」
という言葉。
染みます!
う〜ん、染みる!!
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しかし…
余りにも僕は
知らないことが多すぎる、
それを山形に行って
学ばせて頂きました。
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事業者さんにおいては
「地域の歴史を知り
自社の沿革を確かめること」
により自社の強みを再発見
出来るかも知れません。
そのためにも
(出来れば)
地域資本の本屋さんを
時々覗いてみるのも
良いかも知れません。
P.S.
今、2回目を読み始めてます。
いい本との出会いに感謝!!!