時間的・物理的距離が空くと過去の記憶が優位になる
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子供が
進学・就職のために
実家を出る。
すると
実家の近辺では見ることがない
一見煌びやかな
新しい世界に接することとなり
どんどんそちらに
惹かれていってしまう。
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それでも
実家を出てのすぐの頃は
年に2回は帰省する。
しかし時間の経過とともに
年に1回の帰省となり、
ついには
数年もしくは数十年に1回の
帰省となってしまうことも
あるでしょう。
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親子で頻繁に接しない間、
実家から出ていった子供は
生活パターンが全く
変わってしまうこともあるはず。
例えば
夜は遅くまで仕事をして
食事は常に外食なんて人も
いるはずです。
結婚して
子育てに忙しくなる
人もいるでしょう。
会社では出世して
上司と部下の板挟みにあい
苦悩する人も
出て来るでしょう。
その結果、
自分の時間が取れず
常にストレスを抱えている
人もいるでしょう。
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また実家以外の土地で
生活を続ける中で
打ちのめされ、
一旦自暴自棄となるものの
改心し、
「昔とは全く違う性格となる」
なんてこともあるでしょう。
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でもそれは実家にいる者は
ほとんどわからない。
これはある意味仕方がないこと。
実家にいる人も
出ていった人も
お互い頭の片隅で
相手のことを思っているのだけど
日常の忙しさにかまけ
連絡が途絶えがちに
なってしまう。
だから現在の本当の姿が
互いにわからない。
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しかし、その状態が
長く続いてしまうと
「過去の記憶で相手を判断する」
ことになってしまう
と思います。
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過去の記憶で判断してしまうと
実家に残っている親は
「(子息は)まだまだ子供。
何も出来ないのに、今でも、
利いた風な口をきくんだろうな〜」
とか
「(子息は)昔、良くいじめられて
泣いていたな〜。
あいつはいじめられても言い返せない
んだよな。弱いところがある」
などとずっとずっと思ってしまう。
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一方、
実家から出ていった子供は
「石頭の頑固な親。
俺がこんなに変わったのを知らない癖に
上から目線で今でも偉そうにものを
言ってくるんだよな〜」
とか
「経営者である親は今でも威張りくさり
人の言うことに耳を傾けない
のだろうな〜」
とずっとずっと思い続けてしまう。
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これが
一度外に出た子息が
家業の事業承継をうまく果たせない
理由の一つだったりします。
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この解決には親子間の
コミュニケーションを
密にするしかないはず。
コミュニケーションを密にして
今でもずっと抱き続けている
過去のイメージを払しょくするしか
この状態を脱する方法は
ないように思います。
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しかし
一旦気持ちが離れた親子間で
質の高いコミュニケーションを
取ることは難しいのが現実。
気恥ずかしさや、意地、遠慮など
の気持ちを
お互いが持っているからです。
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そのような時は
食事でもしながら
雑談から始めてみてはいかがでしょうか。
長い時間をかけ絡みに絡んだ糸を
解きほぐす感じですね。
それも無理なら
親子の機微がわかる
第三者に話に加わってもらう
ことで事業承継がスムーズに進む
可能性が高まるかと思います。
P.S.
最近本当によく感じます。
僕自身、歳を重ねて思うのは
つい
「自分の経験に固執してしまう」
ということ。
あとは
「柔軟性がどんどんなくなっている」
ということ。
自分を律することの難しさを
痛感しています。
残りの人生が少なくなってくると
過去でしか生きられないものなのか?