3.11と補助金
■
2011年3月11日、
東日本での大地震が
岩手、宮城、福島を中心とした
各地に未曽有の被害を
もたらしました。
■
僕は、
震災前にも、震災後にも、
これら被災地を訪れたことがあります。
しかし
いずれも数日の滞在でしたので
現地で生活されている方々の
ご苦労は分かっていないのが
現実です。
■
僕は、東日本大震災や
熊本震災などからの復興に
少しですが関わらせて頂いた
ことがあります。
その時の記憶・想いで
以下より記させて頂きます。
そのため当記述は
あくまで僕の個人的考えです。
各人各様ご意見があってしかるべき
思っています。
■
さて、さて、
自然災害などで被災された
工場や店舗・事務所や必要な設備を
再整備するための補助金があります。
この補助金を「グループ補助金」
と言います。
中小企業者等がグループを組成
したのち、補助金を申請。
再建するための費用の
四分の三を補助するという
建付けです。
※この補助金は固定資産について
のみの補助となります。
難しい言葉かも知れませんけど
「資産計上」されないものには
グループ補助金は交付されません。
従いまして
運転資金などが必要であれば
金融機関さん等から借入をするなど
他のことを考えなくてはなりません。
■
この「グループ補助金」は
スピーディーに交付されたので
被災地の復興に大きく貢献しました。
この補助金がなければ
今よりもっと多くの方が被災地を離れ、
現地の復興スピードは遅れに遅れて
いたと思います。
そのような意味でも
補助金って意味があると思います。
■
しかし
先日(今年の3月11日)
NHKのニュースを見ていると、
このグループ補助金の
使い勝手がよくない
(柔軟でない)
と報じられていました。
そのニュース中で
自己破産した方などが
インタビューに答えていました。
インタビューに応えた方々は
「一旦建てた建築物の用途変更が
出来ない」
「導入した設備の更新が出来ない」
というご意見をお持ちでした。
■
補助金は税金です。
なので使途が限られています。
使途を限っておかないと
何に使われるかわかりません。
具体的には
再建した施設は目的以外で
使用してはいけません
また当然に
導入した設備等を売って
現金化することは
よっぽどのこと(返金する等)
をしないと認められません。
途中で設備の廃棄も
認められません。
■
それくらい厳しく管理されるのは
国民の税金を使っているので
当然のことかもしれません。
■
一方で思います。
10年ほど前の事業計画策定時に
「漁獲量がここまで減ることは
想定できなかった」
のは当然とも…
※
東日本大震災の場合
沿岸部では多くの漁業関係者が
操業されていました。
そのため漁業に関係する
事業者に対し
多くの補助金が交付された
という実態があります。
※
現在、日本の漁獲高は
減少傾向にあります。
■
とは言え
見通しが甘かった
という面もあるかも知れません。
例えば
・海(海底)が震災によって荒らされ
漁獲高が減っていくのではないか
・地域を訪れる観光客が
震災前よりも少なくなるのではないか
・居住者も少なくなり
労働力(人材)の確保は難しく
なるのではないか
などを想定し、
考慮に入れておいても
良かったかも…
■
また別の観点から…
当時の補助金申請の計画書に目を通すと
明らかに「過剰投資」と
判断せざるを得ない
計画も散見されたように思います。
しかし当時は
そのような計画に対してでも
「細かいことは後からで良い。
とにかく補助金を交付することを
最優先しよう」
という空気が補助金交付決定者側に
蔓延していたのかも知れません。
■
今思えば
それぞれの持ち場の人が
一刻も早く復興に向かって
歩みだせるよう努力されていた
のだと思います。
それは理解します。
しかし
再建計画が甘かったおかげで
今こうして苦しんでいる方がいる…
という現実があります。
■
(話はがらりと変わります…)
数年前のこと
被災地ではないのですが、
資金繰りに窮している事業者さんと
お話をしました。
その事業者さんは
ある経緯を経て補助金を交付され、
それに伴う事業推進のため
運転資金を金融機関さんから
借入されていました。
■
僕はその事業者さんに
これまでの経緯と現在の業況を
詳しくお聞きし、
また直近3期分の財務諸表と
試算表を見て、
とても厳しい状況であると
判断しました。
このまま操業していたら
あと数か月で資金ショートと
なってしまう、
と思いました。
■
そして僕が考え得る
選択肢を3つ提示して
最後に
「無理はしないでくださいね。
最悪の想定とは思いますが、
法的に処理することも出来ます。
そのようになったとしても
今まで通りお元気で
生活することは可能でしょうし」
とお伝えしました。
しかし…
その数か月後、自死されました。
■
補助金って
良い面も一杯あるかと思います。
例えば、事業者さんに、
ずっと前から抱いていた
熱い熱い想いがあり
その想いを実現する方法として
補助金活用という道があることを知り、
それで補助金申請する
という流れ。
これだと
物凄く価値があると思います。
一方、
「補助金があるので
申請してみませんか?」
と第三者から言われ
事業者さんが
「補助金が頂けるのなら…」
と安易に飛びつくと
後々困ることになるかも知れません。
■
事業者さんにおかれましては
時間軸を長く取り、
よ~く考えて活用すべきものだと
僕は思っています。