年輩者と昔話
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大学時代の友人と飲んでいたら
「シブ(←僕のこと)が言っている
大学時代の出来事って、
本当にそうだった?」
と聞かれました。
う~む、確かに!
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その友人の言葉は
人の記憶について、
正鵠を射ていると
思います。
「記憶なんて簡単に
書き換わる」
と僕も思っています。
記憶なんて
ほとんどが事実ではなく
創作したものかも知れない…
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(話変わって…)
随分前のこと
ある企業での会議を終え、
夜、後継者と若手社員と
3人で飲んでいた時のこと
若手社員が「は~」と
大きなため息をつきました。
その時後継者は黙ってました。
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そこで僕は
「今からとても失礼なことを
言うかも知れません」
と前置きし、
「どうして、社長や経営陣は
昔話をするのだろうと
思っているのではないですか?」
と若手社員に聞いてみました。
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僕が何故そのような
発言をしたか…
それは
その企業では年輩の
経営陣がいつも会議で
「昔のこと」を基準とした
発言をしていたからです。
年配の方々が
会議等で昔のことをおっしゃる
ケースは多くあります。
しかし
その企業の経営陣は
昔を基準とした発言が
少し多い
と以前より
僕は感じていました。
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すると若手従業員が
「だってそうでしょう。
今日の会議だって
昔の話と、
昔を基準として
○○をやる、△△はやらない
という話。
それに…やっぱり…
それらに付随する自慢話ばかり。
いつも話が前に進まない」
と言い、
続けて
「僕たち若い世代は
これからどうするか、
を真剣に話し合いたい
のですよ。
自分の生活もありますし…
昔話に付き合っている暇は
ないんですよ。
これじゃ若い人が
どんどん辞めていく
澁川さんから
何とか言って下さい」
とおっしゃいました。
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僕にも同じような体験があります。
なんで年配者は
昔の話と自慢話ばかり
するのだろうと…
しかし55歳になった今
歳を重ねるとそのように
なるのだということを
自分の身を持って
思い知ることになろうとは…
僕も僕の経験で
物事を判断し、
僕の経験外のことを
批判的に見るように
なったと自覚しています。
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経営環境は変わっています。
それに伴い人々の気持ちも
変わります。
なのに僕の気持ちや意識は
それに追いついていない。
その事実に気づいたときは
愕然としましたね。
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そのような過去の経験も
あって、
戦後より、
1年ごとの状況を経年で
把握できるエクセルを
作りました。
それに僕は
「過去トレース」という
名前を付けました。
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この「過去トレース」には
その年の経済成長率や
その年のトピックスを
入力してます。
そしてそれぞれの企業さんが
経年で
経営者の年齢や、後継者の年齢、
企業の出来事のほか年商・利益、
周辺人口、家族のイベント、
自事業の業界トピックスなど
を自由に入力できるようにしました。
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これがあると
過去がある程度
見える化できます。
事実は数字で把握できる
ようにもなるので、
事業承継サポート時の
家族会議等で使っています。
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ちなみに僕が生まれた
1967年(昭和42年)は
経営者であった父は34歳。
僕の兄が生まれた年の父は
29歳です。
僕が生まれた年の
経済成長率は12.4%も
あります。
イタイイタイ病が問題となり、
四日市ぜんそくの集団訴訟が
起こったようで、
「公害対策基本法」が成立
してます。
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その頃、我が国・企業は
公害等の問題は考えず
ひたすら経済成長を追っていた
時代なのかな~
と推測できます。
ちなみに僕が生まれた年の前は
丙午で出生数は減少したが
人口は1億人を超え、
娯楽文化、ビートルズ来日、
笑点・ウルトラQの放映開始
とのこと。
何となくでも
時代背景がわかりますね。
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「過去トレース」を見ていると
その時代の空気感を感じることが
できます。
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(話変わって…)
サッカーワールドカップで
日本代表が予選を通過した
時点での堂安選手の言葉
「自分が2得点上げたことは
忘れて、次への準備をします」
との言葉。しびれます。
過去は過去として
抑えておきつつ
自分の成功体験は
忘れて準備をしっかりしなくては
いけないのだと思います。
僕に足りないところです。