3.11と補助金


2011年3月11日、

東日本での大地震が
岩手、宮城、福島を中心とした
各地に未曽有の被害を
もたらしました。


僕は、

震災前にも、震災後にも、
これら被災地を訪れたことがあります。

しかし

いずれも数日の滞在でしたので
現地で生活されている方々の
ご苦労は分かっていないのが
現実です。


僕は、東日本大震災や
熊本震災などからの復興に
少しですが関わらせて頂いた
ことがあります。

その時の記憶・想いで
以下より記させて頂きます。

そのため当記述は
あくまで僕の個人的考えです。

各人各様ご意見があってしかるべき
思っています。


さて、さて、

自然災害などで被災された
工場や店舗・事務所や必要な設備を
再整備するための補助金があります。

この補助金を「グループ補助金」
と言います。

中小企業者等がグループを組成
したのち、補助金を申請。

再建するための費用の
四分の三を補助するという
建付けです。

※この補助金は固定資産について
のみの補助となります。
難しい言葉かも知れませんけど
「資産計上」されないものには
グループ補助金は交付されません。

従いまして
運転資金などが必要であれば
金融機関さん等から借入をするなど
他のことを考えなくてはなりません。


この「グループ補助金」は
スピーディーに交付されたので
被災地の復興に大きく貢献しました。

この補助金がなければ
今よりもっと多くの方が被災地を離れ、
現地の復興スピードは遅れに遅れて
いたと思います。

そのような意味でも
補助金って意味があると思います。


しかし

先日(今年の3月11日)
NHKのニュースを見ていると、

このグループ補助金の
使い勝手がよくない
(柔軟でない)
と報じられていました。

そのニュース中で
自己破産した方などが
インタビューに答えていました。

インタビューに応えた方々は

「一旦建てた建築物の用途変更が
出来ない」

「導入した設備の更新が出来ない」

というご意見をお持ちでした。


補助金は税金です。
なので使途が限られています。

使途を限っておかないと
何に使われるかわかりません。

具体的には

再建した施設は目的以外で
使用してはいけません

また当然に
導入した設備等を売って
現金化することは
よっぽどのこと(返金する等)
をしないと認められません。

途中で設備の廃棄も
認められません。


それくらい厳しく管理されるのは
国民の税金を使っているので
当然のことかもしれません。


一方で思います。

10年ほど前の事業計画策定時に

「漁獲量がここまで減ることは
想定できなかった」

のは当然とも…


東日本大震災の場合
沿岸部では多くの漁業関係者が
操業されていました。
そのため漁業に関係する
事業者に対し
多くの補助金が交付された
という実態があります。


現在、日本の漁獲高は
減少傾向にあります。


とは言え

見通しが甘かった
という面もあるかも知れません。

例えば

・海(海底)が震災によって荒らされ
漁獲高が減っていくのではないか

・地域を訪れる観光客が
震災前よりも少なくなるのではないか

・居住者も少なくなり
労働力(人材)の確保は難しく
なるのではないか

などを想定し、
考慮に入れておいても
良かったかも…


また別の観点から…

当時の補助金申請の計画書に目を通すと

明らかに「過剰投資」と
判断せざるを得ない
計画も散見されたように思います。

しかし当時は

そのような計画に対してでも
「細かいことは後からで良い。
とにかく補助金を交付することを
最優先しよう」

という空気が補助金交付決定者側に
蔓延していたのかも知れません。


今思えば

それぞれの持ち場の人が
一刻も早く復興に向かって
歩みだせるよう努力されていた
のだと思います。

それは理解します。

しかし

再建計画が甘かったおかげで
今こうして苦しんでいる方がいる…

という現実があります。


(話はがらりと変わります…)

数年前のこと

被災地ではないのですが、

資金繰りに窮している事業者さんと
お話をしました。

その事業者さんは
ある経緯を経て補助金を交付され、

それに伴う事業推進のため
運転資金を金融機関さんから
借入されていました。


僕はその事業者さんに
これまでの経緯と現在の業況を
詳しくお聞きし、

また直近3期分の財務諸表と
試算表を見て、

とても厳しい状況であると
判断しました。

このまま操業していたら
あと数か月で資金ショートと
なってしまう、

と思いました。


そして僕が考え得る
選択肢を3つ提示して

最後に

「無理はしないでくださいね。
最悪の想定とは思いますが、
法的に処理することも出来ます。
そのようになったとしても
今まで通りお元気で
生活することは可能でしょうし」

とお伝えしました。

しかし…
その数か月後、自死されました。


補助金って
良い面も一杯あるかと思います。

例えば、事業者さんに、

ずっと前から抱いていた
熱い熱い想いがあり
その想いを実現する方法として
補助金活用という道があることを知り、
それで補助金申請する

という流れ。

これだと
物凄く価値があると思います。

一方、

「補助金があるので
申請してみませんか?」
と第三者から言われ

事業者さんが
「補助金が頂けるのなら…」
と安易に飛びつくと
後々困ることになるかも知れません。


事業者さんにおかれましては

時間軸を長く取り、
よ~く考えて活用すべきものだと
僕は思っています。

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